ご挨拶

日本の創薬における重要課題の一つに、バイオ創薬の振興があります。その推進には、バイオ分野の基盤技術を担う人材の育成が不可欠です。こうした社会的要請に応えるべく、一般社団法人バイオロジクス研究・トレーニングセンター(BCRET)は、2017年8月、産・学・官の連携のもと、神戸大学統合研究拠点(ポートアイランド)内に設立されました。さらに、実習施設の拡充を目的として、2023年4月には東京拠点(三井リンクラボ新木場1)を開設いたしました。

神戸拠点(本部)では、神戸大学統合研究拠点の既存施設(科学技術イノベーション研究科実験室)を活用し、座学および実習を通じた人材育成を行うとともに、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの研究費による研究活動も展開しています。東京拠点では、主に新規モダリティ(AAVベクター、レンチウイルスベクター、CAR-T、mRNA医薬品など)に対応した実習を実施しています。

BCRETは、その設立目的を果たすため、1.バイオロジクス分野の開発・製造・分析に関連する教育の実施による、当該分野の産業を推進する人材の育成、2.バイオロジクス分野に関する先端的な研究・調査の実施、3.大学等の研究支援および産業界への橋渡し(トランスレーショナルリサーチ:TR)を主たる事業内容としています。TR事業では、CMC関連の研究開発支援や創薬支援、製薬企業では提供が困難なマテリアル(培養液、精製工程液など)の提供、新規分析法の開発・提供などを行っており、これらは海外の教育機関(BTECやNIBRT)には見られないBCRET独自の取り組みです。

また、主催事業以外で、現在進行中の主な事業には、厚生労働省・経済産業省のバイオ人材育成施策に関連するAMEDの研究開発事業や、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課による委託事業「バイオ医薬品の使用促進に係る普及啓発等事業」などがあります。

講習の対象者は、製薬企業、機材・部材ベンダー、人材派遣会社の社員、規制当局の査察官、学生、アカデミア、アジア諸国の規制官など多岐にわたります。2018年度から2024年度までの7年間で、延べ200社以上から座学1,703名、実習642名(PMDA等規制からの約60名を含む)の方が、受講されています。

BCRETは単なる教育機関ではなく、バイオ人材の需要・供給に関わる全ての企業、大学、アカデミア等の関係性とニーズの明確化を通じて、これらの連携を促進することで、より効率的な人材育成システムを構築する機関として、バイオ創薬の振興に貢献することを目指しています。

一般社団法人
バイオロジクス研究・トレーニングセンター

代表理事 豊島 聰