大学生・大学院生に向けた「バイオ医薬品の開発・製造領域の魅力を伝えるキャリアセミナー」を開催しました


2026年09月04日

2026年8月7日、日本橋ライフサイエンスビルにて、BCRETおよび日本製薬工業協会バイオ医薬品委員会の共催で製薬企業の社員による講演とQ&Aを含む総合討論から構成されたキャリアセミナーをハイブリッド形式で開催しました。Web参加を含め、17大学から約50名の参加がありました。
総合司会より、「学生の皆さんにあまり馴染みのないバイオ医薬品の創薬・開発・製造の全体像と、その中で重要な役割を担うCMC(Chemistry, Manufacturing and Control) 領域の魅力を伝えること」が本セミナーの目的であることが述べられました。CMC領域は薬学だけでなく、理学、工学、農学など多様な専攻が、それぞれ強みになる点が強調され、製薬企業の社員である実務者の視点から具体的な情報を提供する場として企画されました。

講演の要点:CMC領域の役割と魅力
基礎的な創薬研究から実際の医薬品製造への橋渡しとなるCMCの重要性について、3つの視点で解説されました。

  • バイオ医薬品開発の最前線:新薬の候補を「患者さんに届く医薬品」にするのがCMCの役割です。多様化するバイオ医薬品に対応するため、研究・開発・製造を横断して品質を確保する技術と科学的思考力が求められます。
  • CMC開発の醍醐味:新薬候補の治療効果だけでなく「安定供給を見据えた製造が可能か」を見極める評価が鍵です。生産細胞株の構築から培養・精製・製剤化プロセスの設計と構築を、科学的判断を積み重ねて製品の形にする、ダイナミックで魅力的な職種であることが紹介されました。
  • 厳格な製造現場のリアル:研究室の小さなスケールから数千リットルの商用スケールへの生産規模の拡大を担います。スケールアップした場合、一回の製造コストが莫大で失敗が許されない中、製造条件をコントロールして品質の同等性を確保し、安定供給を実現しながら患者さんに最終製品を送り出す、非常に責任とやりがいのあるキャリアです。

総合討論(Q&A)での主なトピック
講演後の討論の中では、学生の皆さんからの質問に対し実務者から回答があり、活発な意見交換が行われました。

  • 専攻とキャリアの関連性:大学時代の研究の抗体取得の経験がすぐに役立つこともありますが、有機化学専攻も分析化学などの領域で大いに活躍できるので、専攻に特にとらわれる必要はありません。博士号は必須ではありませんが、取得過程での経験が役立ちます。製薬業界では多くある海外との協業では有利な場合もあります。
  • グローバル連携と英語力:CMCは製造・分析・技術移転などで海外との連携は日常的ですが、求められるのはネイティブレベルではなく「論理的に専門的な内容や技術を伝える英語力」です。若手社員にも海外出向の機会が豊富にありグローバルに活躍できる環境が広がっています。
  • 将来性とイノベーション:新しいバイオ医薬品の増加により、将来の職種が飽和する懸念はなく、むしろCMC人材の需要は国内外で拡大中です。CMC人材は、連続生産やAI技術の最適化など専門領域が拡大し、深化しています。これらの革新を牽引する役割が求められています。

総括
本セミナーでは、学生の皆さんに自身の大学での専攻がどのように企業の仕事につながるのか、具体的なキャリアイメージを描くことへの手助けができました。終了後も実務者への個別相談が長時間続くなど、熱量の高い交流が行われ、セミナーを主催した側にとっても、貴重な対話の場となりました。最後に「初の試みながら相互に意見交換ができた有益なセミナーであった。今後もCMC領域の魅力発信を継続する必要を感じた」との総括が述べられ、盛況のうちに閉会しました。また、学生の皆さんからは、「CMC職の役割、開発から製造までの全体像を学べて良かった」、「抗体研究とスケールアップの解像度が上がった」という声のほか、「工場見学(オンライン含む)など体験型コンテンツ」があればさらに理解が深まるといった前向きな提案も寄せられました。